
「宮古ブルー」と称される世界屈指の透明度を誇る海、東洋一美しいと言われる白い砂浜、そして島々を結ぶ長大な橋。沖縄・宮古島は、ドローンパイロットにとってまさに「空撮の聖地」です。
しかし、近年ドローンの普及に伴い、航空法や地域の条例、マナーに関するトラブルも増えています。「せっかく持っていったのに飛ばせなかった」「知らずに禁止区域で飛ばして警察に注意された」といった事態は絶対に避けたいものです。
この記事では、宮古島でドローンを飛ばすために知っておくべき最新の法的ルール、空港周辺の重要規制、そしてプロも狙うおすすめの空撮スポットを徹底的に解説します。初心者から上級者まで、宮古島で「最高の画」を撮るためのバイブルとしてご活用ください。
目次
1. 【前提】宮古島でドローンは飛ばせるのか?
結論から言えば、宮古島はドローン撮影に非常に適した場所ですが、飛ばせる場所と飛ばせない場所が明確に分かれています。
都心部のような人口集中地区(DID地区)は少ないものの、宮古島には「2つの空港」があり、さらにリゾートホテルや観光客が多いビーチが点在しているため、どこでも自由に飛ばせるわけではありません。
美しい映像を残すためには、まず「法律」と「ローカルルール」の2つをクリアする必要があります。まずは、絶対に無視できない法的基礎知識から確認しましょう。
2. 絶対に知っておくべき「航空法」と「基本ルール」
2022年6月20日より、航空法が改正され、ドローンの登録義務化などルールが厳格化されました。宮古島へ行く前に、以下の基本事項を必ずチェックしてください。
① 機体重量100g以上の登録義務
かつては200g未満が規制対象外(トイドローン扱い)でしたが、現在は**「100g以上」の機体すべてが航空法の対象**です。DJI Miniシリーズなどの軽量機体であっても、屋外で飛ばす場合は国土交通省への機体登録と、リモートIDの搭載(または内蔵)が必須です。 未登録の機体を飛ばした場合、50万円以下の罰金や懲役刑の対象となります。
② 飛行禁止空域(特定飛行)
以下の場所・方法で飛ばす場合は、事前に国土交通省の許可・承認が必要です。
- 空港周辺の空域(宮古島において最も重要)
- 150m以上の高さ
- 人口集中地区(DID)の上空(平良市街地の一部など)
- 夜間飛行(日没後〜日の出前)
- 目視外飛行(モニターだけを見て飛ばす行為)
- 第三者や物件から30m以内の距離での飛行
- イベント上空での飛行
特に宮古島のビーチ撮影で注意が必要なのは「目視外飛行」と「第三者から30m以内」です。モニターに夢中になって機体を見失ったり、観光客の近くで飛ばしたりしないよう注意が必要です。
③ 飛行計画の通報(FISS)
許可が必要な空域・方法で飛ばす場合だけでなく、特定飛行を行う場合は「ドローン情報基盤システム(FISS 2.0)」への飛行計画の入力が義務付けられています。他の航空機やドローンとの衝突を防ぐためのシステムですので、必ず入力しましょう。
3. 宮古島特有の注意点:2つの空港と「進入表面」
宮古島でのドローン飛行で最も気をつけなければならないのが、「宮古空港(MMY)」と「下地島空港(SHI)」という2つの空港の存在です。
島という限られた地形の中に2つの空港があるため、島の広範囲が「空港周辺の規制空域」に含まれています。
宮古空港周辺の規制
島の中央に位置する宮古空港。平良市街地や島の中心部は、空港の制限表面(進入表面・転移表面など)にかかるため、基本的に飛行禁止、または高度制限が非常に厳しく設定されています。 DJIのアプリや「楽天ドローンマップ」「国土地理院地図」などで、空港から半径数キロ圏内に入っていないか必ず確認してください。
下地島空港周辺の規制(17ENDの注意点)
伊良部島と陸続きの下地島にある空港です。絶景スポットとして有名な「17END(ワンセブンエンド)」は、この下地島空港の滑走路の真横に位置しています。 17END周辺は、航空機の離発着コース直下にあたるため、ドローンの飛行は極めて厳しい制限があります。 滑走路の延長線上(進入表面)は、高度0mであっても飛行禁止となるエリアが存在します。17ENDでドローンを飛ばしている映像を見かけることがありますが、それらは「特別な許可を得ている」か、あるいは「違法飛行」のどちらかです。 無許可で飛ばすと航空機運航への重大な妨害行為となり、重い処罰の対象となります。17ENDでの空撮は、原則として避けるか、空港事務所等の許可を正式に得た上で行う必要があります。
4. ビーチ別おすすめ空撮スポットと攻略法
ルールを理解した上で、安全に配慮すれば最高の映像が撮れるおすすめスポットを紹介します。それぞれの特徴と、撮影時の注意点をまとめました。
① 与那覇前浜ビーチ(よなはまえはま)
特徴: 「東洋一」と称される、7kmにわたって続くパウダーサンドの白い砂浜。宮古島空撮の王道スポットです。 空撮のポイント:
- 早朝がベスト: 日中は観光客やマリンアクティビティ(ジェットスキーなど)が非常に多いため、人が少ない早朝(7時〜9時頃)が狙い目です。
- 来間大橋とのコラボ: ビーチの向かいに見える来間大橋を背景に入れると、奥行きのある映像になります。
- 注意点: ホテルやマリンショップの前は避け、人がいないエリアへ移動してから離陸させましょう。ジェットスキーの航行ルート上空は避けてください。
② 砂山ビーチ(すなやま)
特徴: 砂の山を越えて辿り着く、アーチ状の岩が象徴的なビーチ。 空撮のポイント:
- 岩のアーチを海側から: 陸からは撮れない「海側からのアングル」でアーチを捉えるのはドローンならでは。
- 高度感: 砂山自体の高さがあるため、高度を上げてビーチ全体と背後の緑を俯瞰で撮ると美しいコントラストが生まれます。
- 注意点: ビーチ自体が狭く、観光客が密集しやすい場所です。人が多い時間帯の低空飛行は絶対にNGです。また、岩場の周辺は電波干渉やGPSロストのリスクがあるため、慎重な操作が求められます。
③ 池間大橋(いけまおおはし)周辺
特徴: 宮古島と池間島を結ぶ全長1,425mの橋。橋の両サイドに広がるエメラルドグリーンの海は圧巻です。 空撮のポイント:
- 橋のたもとから: 池間島側の橋のたもとに駐車場とビーチがあります。そこから離陸し、橋と並走するようなカットや、橋を真俯瞰(真上)から捉えるカットが人気です。
- 干潮時: 干潮時には「幻の砂浜」のような浅瀬が広がり、グラデーションがさらに美しくなります。
- 注意点: 橋の上空(自動車の真上)は「第三者物件の上空」に該当する可能性が高く、万が一の墜落時に大事故につながります。橋の真上ではなく、少し海側にずらして飛行させましょう。また、風が抜けやすい場所なので強風に注意が必要です。
④ 西平安名崎(にしへんなざき)
特徴: 宮古島の北西端、風車が並ぶ岬。 空撮のポイント:
- 風車と海: 白い風車、断崖絶壁、そして青い海のコントラストが美しい場所です。
- 池間大橋を遠景に: ここからは池間大橋の全景を横から捉えることができます。
- 注意点: 風力発電があることからも分かる通り、ここは「風の名所」です。常に強い風が吹いているため、機体スペックによっては飛行を断念する勇気が必要です。風車のブレードには絶対に近づけすぎないようにしてください。
⑤ 渡口の浜(伊良部島)
特徴: 伊良部島を代表する美しい弓状のビーチ。砂の白さと細かさは前浜ビーチに匹敵します。 空撮のポイント:
- カーブを描く海岸線: 緩やかな弓なりの海岸線は、ドローンで上昇しながら旋回撮影(ノーズインサークル)するのに最適な形状です。
- 隣接する防風林: 海の青と、背後に広がる緑の防風林の対比が鮮やかです。
- 注意点: ここも観光客が多いスポットです。また、下地島空港の進入表面の延長近くになる場合があるため、高度制限アプリで必ず上限高度を確認してください。
⑥ イムギャーマリンガーデン
特徴: 天然の入り江を利用した海浜公園。波が穏やかで、箱庭のような景観です。 空撮のポイント:
- 入り江の造形美: 複雑な海岸線、橋、展望台、そして内海の深い青と外海の荒々しい青の違いを一画面に収められます。
- 真俯瞰撮影: 独特な地形をしているため、真上から撮ると地図のような面白い映像になります。
- 注意点: 高低差がある地形なので、目視外飛行にならないよう立ち位置に工夫が必要です。展望台にいる人への配慮も忘れずに。
5. 良い映像を撮るための「天気」と「設定」
場所選びと同じくらい重要なのが、コンディションの読み方とカメラ設定です。







