
宮古島のグルメといえば、宮古そば、宮古牛、そして新鮮な海鮮料理が定番です。 しかし、ここ数年で島のリピーターや移住者の間で密かに、けれど熱狂的に支持されているジャンルがあります。 それが**「パン屋(ベーカリー)」**です。
「せっかく沖縄に来たのにパン?」と侮るなかれ。 宮古島には、本土の激戦区にあっても行列ができるレベルの、ハイクオリティな個人経営のパン屋さんが驚くほど密集しています。 島の湿潤な空気と温暖な気候は、実はパンの発酵に適しており、そこに「宮古島の水」と「島の果実やスパイス」が加わることで、ここでしか味わえない魔法のようなパンが焼き上がるのです。
ただし、宮古島のパン屋巡りには一つだけ大きなハードルがあります。 それは、**「開店と同時に戦いが始まり、昼過ぎには売り切れて閉店する」**という、島時間とは真逆のスピード感。
今回は、年間30日以上を宮古島で過ごす筆者が、早起きしてでも絶対に食べたい「宮古島の極上パン屋」を厳選してご紹介します。 ハード系の名店から、島の素材を使った惣菜パン、そして絶景カフェベーカリーまで。 これを読めば、あなたの宮古島旅行の「朝の景色」が劇的に変わります。
目次
第1章:なぜ今、宮古島のパンが「熱い」のか
お店を紹介する前に、宮古島のパン文化がなぜこれほどまでに進化しているのか、その背景を少しだけ紐解きます。
1. 移住者による「本気のパン作り」
宮古島の人気ベーカリーの多くは、東京や大阪、あるいは海外で修行を積んだ職人さんが、「島の自然の中でパンを焼きたい」と移住してオープンさせたお店です。 そのため、技術レベルが非常に高く、自家製酵母や厳選された小麦粉を使うなど、こだわりが半端ではありません。
2. 島食材との奇跡のマリアージュ
マンゴー、パッションフルーツ、黒糖、紫芋、そして島野菜。 宮古島にはパンと相性の良い食材が溢れています。 これらをふんだんに練り込んだパンは、単なる「ご当地パン」の域を超え、フレンチのコース料理の一皿のような完成度を誇ります。
3. 「ビーチで朝食」という最高の贅沢
宮古島には、コンビニもカフェもない美しいビーチが無数にあります。 「美味しいパンとコーヒーを買って、誰もいない朝のビーチで食べる」。 この究極の贅沢を知ってしまった旅行者たちが、こぞってパン屋に通うようになったのです。
第2章:【伝説の店】開店前から行列!「モジャのパン屋」
宮古島のパン屋を語る上で、絶対に外せないのが「モジャのパン屋」です。 ガイドブックやInstagramで、蔦(つた)に覆われた小さなお店の写真を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
おとぎ話の世界に迷い込んだような外観
市街地から少し離れた住宅街に、ひっそりと佇むその店は、まるでジブリ映画に出てきそうな雰囲気。 看板も小さく、うっかりすると通り過ぎてしまいそうですが、開店時間の午前10時には、すでに香ばしい匂いと、それを求める人々の行列ができているので分かります。
必食メニュー:まるぱん&黒糖シナモンロール
ここのパンは、シンプルながらも力強い味わいが特徴です。 特に人気なのが、子供の拳ほどの大きさの「まるぱん」。 外側はカリッと、中はもっちり。噛めば噛むほど小麦の甘みが広がります。 そして、瞬殺で売り切れるのが「黒糖シナモンロール」。 宮古島産の黒糖を使ったコクのある甘さと、シナモンのスパイシーな香りが絶妙にマッチし、コーヒーとの相性は「危険」なレベルです。
攻略のポイント
- 開店: 10:00〜売り切れ次第終了
- 難易度: Sランク
- 注意点: 11時にはもう「CLOSE」の看板が出ていることも珍しくありません。確実に買うなら、開店15分前には到着しておきたいところ。また、店内は非常に狭い(というよりカウンター越しに注文するスタイル)ので、大人数で押しかけるのは避けましょう。
第3章:【ハード系の雄】噛みしめる喜び「ベーカリー クース(Kuus)」
平良の市街地、久松エリアにある「Kuus(クース)」は、ハード系のパン好きなら涙して喜ぶ名店です。 店名は宮古島の方言で「腰(こし)」や「強いもの」を意味する言葉から来ているとか(諸説あり)。その名の通り、しっかりと芯のあるパンが並びます。
ワインに合う「大人のパン」
店内に入ると、ショーケースにはまるで宝石のようにパンが並んでいます。 バゲットやカンパーニュといったシンプルな食事パンのレベルが高いのはもちろんですが、ここの真骨頂は「具材の組み合わせ」のセンスの良さです。 「イチジクとクリームチーズ」「ドライトマトとオリーブ」「島豚ソーセージのフランスパン」。 これらは朝食にはもちろんですが、夜にホテルでワインを開ける際のお供としても最高です。
必食メニュー:キッシュ&デニッシュ
ハード系だけでなく、サクサクの層が美しいデニッシュや、具沢山のキッシュも絶品です。 特にフルーツを使ったデニッシュは、季節によってマンゴーやパイナップルが登場し、ケーキ屋さんのタルト顔負けの美味しさ。 イートインスペースはありませんが、すぐ近くにパイナガマビーチがあるので、そこで海を見ながら食べるのが正解ルートです。
攻略のポイント
- 営業時間: 朝早めのオープンが多いですが、パンの種類が一番揃うのは10時〜11時頃。
- 狙い目: 惣菜パン系はランチタイム前に売り切れることが多いので、早めの行動を。
第4章:【伊良部島の至宝】島の空気ごと焼く「Saratokipan(サラトキパン)」
伊良部大橋を渡り、さらに奥へ。 のどかな風景が広がる伊良部島・佐良浜(さらはま)地区にあるのが、自家製酵母パンの「Saratokipan」です。
時間をかけて発酵させた「優しい味」
ここのパンの特徴は、自家製の天然酵母を使って、ゆっくりじっくり発酵させていること。 酸味は少なく、酵母独特の芳醇な香りと、もちもちとした食感が楽しめます。 派手なデコレーションはありませんが、毎日食べても飽きない、体にスッと染み渡るような優しさがあります。
必食メニュー:カンパーニュ&スコーン
ずっしりと重みのあるカンパーニュは、スライスして軽くトーストすると、香ばしさが爆発します。 そして、隠れた人気メニューがスコーン。 外はサクッ、中はしっとり。口の中の水分を持っていかれるタイプではなく、口溶けの良いスコーンです。 伊良部島の静かな集落の中で、このパンを齧りながらぼーっと海を眺める。 これ以上の「島時間」の過ごし方はありません。







