青春旅 -17end-

17end

この青さが、僕たちの
証明だ。

レポートも、バイトも、就活の不安も。
ここには何ひとつ持ってこれなかった。

持っているのは、ありあまる時間と、
隣で笑う最高の仲間だけ。

17endは、僕たちが「何者でもなかった夏」を
永遠に冷凍保存する場所。
大人になっても、またここで答え合わせをしよう。

3,000円の航空券で買える、
一生分の「青」がある。

「ねえ、帰りたくないね」

防波堤に座って、少し溶けたアイスをかじりながら君が言う。
その横顔が、青すぎる空に溶けてしまいそうで、僕は何も言えずにただ頷いた。

東京に置いてきた「現実」なんて、この圧倒的な景色の前では全部嘘みたいだ。
来年は就活かもしれない。卒業したら、もう会えなくなるかもしれない。
「何者かにならなきゃいけない」っていう焦りが、ずっと喉の奥に張り付いている。

僕らはまだ、何者でもない。
お金もなければ、確かな未来の約束もない。
あるのは、セールで買った航空券と、スマホの充電と、隣にいる君だけ。
でも、なぜだろう。
世界で一番、僕たちが金持ちな気がするんだ。
この島の空は、残酷なほど綺麗だ。
君が笑うだけで、時間が止まればいいと本気で思う。
カメラのフォルダがいっぱいになっても、この「空気」だけは写しきれない。
大人になる前の、最後の悪あがき。
これは、忘れられない夏を探す
僕たちの青い逃避行の記録。